「それでその人がとーちゃんに気がなかったらカスだよ」
なんて、先輩に言われたけど。
「絶対好きだって」
そう念を押されるけど。
彼に「絶対」は通用しないから、この気持ちは
行くあてを失うの。
爪をどうしようかしら。
やっぱり淡いピンクとか可愛い女の子風がいいかしら。
あんまりキツい色だとあなたは嫌がるかもしれない。
なんて、あなたのことを考えて自分の爪を染めようとする、自分の浅ましさが嫌いよ。
でも結局手に取ったのはダークな色。
あなたを思いながら、けれど自分の欲望を通すんだ。
そうして塗り終わった後に後悔する。
――
バカみたい。
後悔するくらいなら初めからあなたに染まっていればよかったのに。