その人の特別な存在ってわけじゃない。ただの上司と部下で。でもあたしにとっては特別な人。
強がりなあたしが家以外で初めて頼れた人。
弱い所見せるのが嫌いなあたしが初めて弱い所を見せれた人。
頼り無いし言った事すぐ忘れるし苛々もする。
それでも頼れた人。
本気で求めれば本気で応えようとしてくれる。
だから頼ってたの。
この人の下でずっと働いていたい
そう思ってたし、そうだと思ってた。
向こうが辞めるなんて…これっぽっちも考えた事無かった。
だから…
だからね。
嘘だって、
冗談だって、
言って欲しかった。
なんで辞めるの?
なんて聞く建言あたしには無いから。聞けなかった。
は?嘘でしょ?
ってずっと言ってた。
何コレ。事実なの?
寂しくなるじゃん、って言ったら
「俺もだよ」って。
嘘言うな。思ってないくせに。
やだー…辞めないで。
居なくならないで。
ずっと下で働かせて。
貴方が居たから頑張ってたの。
貴方が居たから怖い思いして辞めたくなったけど思い止まったの。
新しく上司になる人はいい人らしい。
いいよそんなの。
馴染める自信無いもん。
辞めるのはちょうど一ヶ月後。この一ヶ月で気持ちの整理をしろと言うの?
無理に決まってるじゃん。
貴方が居なくなったらあたしは何を励みに頑張ればいいのさ。
ばーかっ…!