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【四季】春灯篭(ハルトウロウ)

小鳥さえずり光射す
木漏れ日は暖かく
なんでとなく振り返るのは
甘やかな風のせい

いつもと変わらぬ日々の中で
確かに息づく鼓動達
暗い寝床で焦がれていた
眠りを今こそ解き放とう


夏が過ぎて秋が来ました
冬のざわめきのなかで
ひたすらに待ち望んだのは
あのやわらかな春灯篭



すべては道のりに過ぎず
ただ今は揺れるだけ
この瞬間さえ直ぐに流れ
咲いては枯れて生まれゆく

留まることのない時の狭間で
繰り返す鼓動達
出逢いは別れ歩みは止めて
始まりを幾度も終わらせる


夏が過ぎて秋が来ました
冬のざわめきのなかで
ひたすらに待ち望んだのは
あのやわらかな春灯篭



続くこの輪は幾重にも
重なり途切れることはなく
次代(ツギ)に繋げるそのために
また始まりの芽吹きを生む

【四季】向日葵の約束

あの駅の改札口でまた


別れる線路の先
いつかは巡り逢うと絡ませた約束
せき立てるベルは遠く
近づく滑車はどこまでも軋む

頼りない糸を信じるしかなくて
胸に引き寄せたお互いの小指にキスした
わざと見なかった相手の顔
ちゃんと笑えたらよかったのに

身を乗り出して泣いた君に
僕は花を贈ろう
見えない約束の代わりに
黄色い花を贈ろう

またここで君と笑う日まで
この色を覚えていて
記憶の片隅で待っていて
それまでは「さようなら」

歪む君の姿
涙のかげろう中で
小さくなる太陽に手を振る

また、ここで


【四季】キンモクセイ

金木犀の匂いが朝のひさしに溢れて
午後と錯覚しそうな
晴れ過ぎた青空

少し焦りぎみに登るホームの階段
反射するデジタル盤が私の標
流れる人交わらない波
けれど、変わらない空気の味

何度か繰り返して
何度も見過ごして

いつもが日常で
日常が更新で

いつの間にか無くなったお店
陽が隠れた大きな看板
赤茶けた鉄パイプが続くよ

昼より明るい夜に会った
少しなつかしいクラスメート
誰だったっけ、なんて言ったけど
覚えてるよ

思い出したよあの道で
違うけれど同じにおい
ひさしの中に差し込む、金色の匂い

晴れ過ぎた空の下で
雲一つないクリア・ブルー
降りそよぐ、金木犀


【四季】7月20日

限りの箱を見下ろせば
真下に脈打つ夏緑
雲の鯨を背に乗せて
屋根に縁取る日の光

空の絵の具はたかいよう
垂直落下に仰いでも
西日に押された夕風が
止めとけ
止めとけ
目隠しだ

代わりに見せた
オレンジに
すぅとたらした
海色に

明日はどこまで
行こうかと
煙るうずまき
夏緑

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プロフィール
一色あるとさんのプロフィール
性 別 女性
職 業 大学生