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【ピアプロ】愛流―かぜのものがたり―

(前奏)
ひらり、舞って鈴蘭に
ぱらり、散って花雪よ
はらり、泣いて徒花に
月に追われて水に散る

更紗 縫い止めた 淡く 光る錦糸(きんし)
思い 起こされば 只の 夢となるやも
願い 捧げよう 東風(こち)を 送ろうぞ
我ら 同胞(はらから)よ 対(つい)の 交わりよ

@

裸足 駈けた春庭 幼子が一人おりました
空よ 深く静か 異人(まれびと)が瞳でした

A´
父を 亡くしたあたくし それがとても暖かく
流れ 黒き民なれど 幼子と行くを願う


(父)「人はみな 孤児なれば 我が民こそ 人なのだ」
なればこそ なればこそ
あたくしと共に

サビ
ひらり、花は舞って
ゆらり、月は滲む
右肩に うずもれる
蒼き乳飲み子 春の子よ


(間奏1)


A

咲くや 匂い溢れ 吾子を抱いて流れゆく
掌(ひら)に 青葉もみじ 煤紅(すすくれない)包まれて

A´
何度 振り返る 甘やかな風誘う
時よ 交わりよ 笑み香る仕合わせよ


(父)「流れゆく 民なれば 寿命(とき)すらも 風と共に」
想いすら 風となる
残れぬなら吹こう

サビ
ひらり、花は舞って
ゆらり、影に滲む
右頬に 消えるのは
母に成りえぬ 温もりよ


(間奏2)


B

月に 花に風と 浮かぶ錦糸に水よ
吾子に 「只在れ」と 願い届け給え

A´
何も 遺さずに 散る花と成れど
掌(ひら)に 青もみじ 仕合わせを知る


「人はみな 孤児成れど 風もまた 人と成る」
なればこそ なればこそ
風は吹き荒ぶ

サビ
ひらり、花は風と
はらり、舞い消える
ゆらり、揺らめくは

母と吾子との温もりよ




解説
テーマは独りと母性愛
流浪の民の女の人が、ある日赤ん坊を拾う。
どうしても母として育てたい女。一族から猛反発受け、赤ん坊と共に一族から抜ける。
穏やかに過ごす二人。しかし彼女の最期は目の前に。
死ねば塵となり風に乗って死体すら残らない一族で、赤ん坊に何も遺せないし、死期がすぐそばだからこれっぽっちも覚えてもらえない。けれどどうしても、赤ちゃんと一緒に生きてみたい。

いずれ風となるなら、今一時の温もりを。

…とまぁこんな感じのお話です。説明しないとなんにも解んないっていうねww

ほんとは愛流とI'll be youをかけて
「アイルー 風のものがたり」と付けようとしましたが、友人から「ひらがなと漢字がいい!」とのお言葉を賜りまして。

【ピアプロ】bye-bye,Peter

ゴウン、ゴウ。耳の中で
低く空は唸って
つまみ出した声で 
夕鳥は今日も啼く

果てしない物語だって
ページは終わるもんだ
今日明日、あさってだって
目を閉じない日は無いよ

君がおとなになる朝に
僕は眠ってしまうだろう
一番星見送って
妖精粉(まほう)は壜(びん)に詰めこんで


ポーコ、ポコ。ビイドロ色
光塗りつぶして
硝子箱の中で
夕鳥は今日も啼く

幾ら続編綴ったって
所詮時間は還らない
下りる幕、裏側で
役はみんな他人(ひと)になる

君がおとなになるのなら
僕は覚えていよう
薄いパジャマつかんで
飛び出した窓辺の温度


布団の下ゆめものがたり
あごの下で組む誓いを
囲ったランプの目の前で
僕らだけのネバーランド

君が大人になるのなら
僕は朝を迎えるよ
眠る僕は鳥に任せ
同じ朝を迎えよう

君が大人になるのなら
子ども(ぼく)は眠ってしまおうか
眠る自分は閉じ込めて
君との朝を迎えよう

さよなら、ピーターパン

【童話シリーズ】白雪姫

パイを焼こう
甘い甘いパイを焼こう

のどかな昼下がり
テレビの声につられて
唐突に始めたお菓子作り

用意するのは
真っ赤なりんご
さらさの小麦粉
透き通る砂糖達

慣れた手つきで生地をこねる
いつも、と呼んでいた
あの時のように

あの時に閉じこめたのは

白い白い吐息でした
赤い赤い体温でした
甘い甘い想いでした

あの時に崩れたのは
焼き菓子のような
脆く儚い願いでした

誰かのために焼き上げたパイは
誰の物でもありませんでした
誰の物にはなりえませんでした

手に残ったのは
真っ白な皿一枚だけでした

パイを焼こう
あの時のように
甘い甘いパイを焼こう
白い皿に一切れだけのせて

甘い甘いパイを

【童話シリーズ】人魚姫

遠く遠く響く
細波のなかで
キミの声を聞いた


出逢うはずのなかった会合
見るはずのなかった表情
知るはずのなかった思いは
青い水面(ミナモ)に揺らめいた

叶うはずのない交わした約束は
いつまでも岸に縛りつけ
懇願する彼らを見送りながら
一筋の白い軌跡を描きだす

遠く遠く響く
細波のなかで
キミの声を聞いた


あの日あの時この場所で
絡ませた小指は形を変えて
薄い銀線となり果てて
願った想いを切り裂いた

あの時願った想いは薄れ
かすれた言葉が残るだけ
綺麗だと誉めた歌声は
ただの思い出だとしか残らない

遠く遠く響く
細波のなかで
ボクはキミを聞く


ボクはキミを聞きながら
ここで歌い続けるだろう
キミに誉めた歌声を
思い出しては歌うだろう

届かないと知りながら
意味のない戯れ言を
聞こえるキミへと返すため
波間に語り歌うんだ

【僕たまシリーズ】O2

赤、青、黄色
いろんな色がある中で
僕らは呼吸をしている

悲しい時は声を上げながら
嬉しい時は胸にほんの少し力を入れて


ある人が言っていた
僕たちは酸素によって生かされている、と

立つのも座るのも走るのも
食べて笑って寝転ぶのも

人は酸素によって歩くんだって


友達に会った
大理石の床を颯爽と歩く彼女はとてもきれいで
道路を挟む常緑樹から
吹き込むように覗かせる風に
舞い上がる髪が

ふわふわ、ふわふわ
とても、美しかった

昔し見た彼女は
いつも汗で髪を貼りつかせて
濡れたような髪色も
こんな風に軽く浮き上がらなかった

久しぶり、と笑う彼女に
僕は同じ音しか返せなかった


僕らは酸素に生かされている
赤も青も黄色でさえ
僕らは酸素を通して色を知る

ならば、

人の数だけ呼吸があるなら
人の数だけ酸素があるなら

今僕と彼女の吸うものは
同じではないんじゃないか?

共有していた空気は
写真の中のそれとは違っていて
いや、もしかしたら
あの時だって
違ってたのかもしれない


別れ際の彼女のまたねに
やっぱり同じ音を返す僕

この息が
いつかの誰かに届く頃
僕は酸素に
どんな色を通しているのだろう
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プロフィール
一色あるとさんのプロフィール
性 別 女性
職 業 大学生