――或る暑い日のこと。
「――ねぇ、氷華」
「何ですか?」
「分かってる事だろうけど――今、物凄く暑くない?」
「ええ、とても暑いですね」
「此処も40度超えそうな勢いで暑いから、頭がおかしくなる気がするし…何とかならない?」
「(頭がおかしくなる以前に、雪うさぎなんですから、暑さで溶けてしまうのではないのでしょうか…?)――私の力では、氷の塊を出す程度の事しか出来ません。夏は力が弱まってしまいますので…」
「うーん…他に何か涼しくなる良い方法でも無いかな…」
「――それなら、あたしが"何とか"してあげるわ」
「え――」
「――ううっ…此処は、一体…?」
「此処は或る学校よ。貴方は今から此処であたしとゲームをするの」
「ゲーム…?」
「そう。ルールは簡単よ、貴方は今から30分以内に此処から脱出するの。脱出出来れば貴方の勝ち、出来なければ――まあ、その時はその時かしらね」
「それの何処が涼しくなれるって言うの?」
「そんな事…――心配しなくても直ぐに分かるわ」
「(…周りを見ても、氷華が居る気配は無い。此処に居ても仕方ないし、とりあえずは)…行くしかない、か」
「(フフッ、どうなるか見物ね)」
(次回に続く)