9は書きかけで飽きちゃったので。
また、いろんなことがいやになってきちゃったので逃避。弱いなあ弱すぎるなあ。しかってくだされおやかたsummer。
嫌な夏だ。
獄ツナだけどツナはいません。てか山本出張ってます
○星が降る丘(獄ツナ)
ほしふるおか、という話を国語の時間にならったばかりだからか、一面の星空がなんとなく不吉なものに写る。
雨の代わりに星が降る。町は燃える。真っ赤に燃える。青い海も赤に染まる。
そしてあの方が好きなひとも、皆死ぬ。
一面の星空を見上げて、隣に行く彼には気づかれないように、そんなことを考えていた。
「あれー?ツナは?」
教室に入る姿を見るなり仏頂面を浮かべた自分へ、原因である男は呑気に問いかけた。時刻は夕暮れ。放課後の教室には珍しく誰も居なかった。
「十代目は日直で職員室に…」
「あーそっかそっか忘れてたわ」
そういや黒板に名前あったっけな、うん。などと自己完結されて、尚更顔が険しくなる。なんだこの男の態度は。人が折角教えてやってるというのに。
視線で人が殺せそうなぐらい睨みつけていると。
「怖い顔すんなよなー」
「誰のせいだ」
「えー俺のせい?」
他に誰が居るんだ。今ここに。
「まあいいけどさ。ツナは笑ってる子の方が好きだよな」
「はっ!?」
どさどさどさと机の上にあったプリントが勢いよく散乱する。
「あーあ。大丈夫かあ?」
「お、お前が変なことを言うからだッ」
「変?」
不思議そうな顔をされて、質問したこちらが後悔したくなる。そんな心情を知ってか知らずか、「うーん」等と呑気に首をかしげる。この仕草を十代目がなさったらさぞかし可愛いだろうが、こいつがやっても「カマトトぶってんじゃねー」ぐらいにしか思わない。
「だってお前、ツナのこと好きなんだろ?」
「ぶっ!?な、なんでそんな」
「あれ?違うか?まあいいや」
よくない!と叫びそうになるのを飲み込ませるように廊下から声が一つ二つ。
「山本ー!!ミーティング始まるよー!!」
「早くしろって!」
「悪ぃ、今行く」
ぺしゃんこな鞄を掴むと、硬直している自分に軽く笑って最後のとどめを刺す。
「頑張れよ、アイツ、案外相当鈍いから」
すれ違いざまに軽く手を挙げると、山本武は風のように去っていった。
「………」
そして取り残された自分は、呆然とその後姿を見送っていた。ダイナマイトの一つや二つほおり投げる余裕すら、なかった。
「いやっ、別に、そんな、好きとか、そういうんじゃ」
…無い、なんて言えない。どうした獄寺隼人。いや、だってなあ、そういうイヤらしい意味ではないのだ。もっとこう、純粋に自分は彼を敬っており、だからそれが「ああーん」やら「いやーん」やらの不純な意味合いを含めるようなものではないということを主張したい。声を上げて。
…いや、万が一そんな状況になっちゃったらどうすればいいんだ俺…じゃない!そうじゃない!!
「はー…」
一人百面相を散々し続けた結果、なんだか無駄に疲れてしまった。ため息と一緒に色んなものが体の外へ出て行く。出て行くだけ出て行った後、心の中に一つだけ、ひどくキラキラした何かが残る気がした。
「好きってこと、か…」
散々悪あがきをしたせいで、その言葉がひどくしっくりきてしまって、逆に戸惑ってしまう。あの男は普段はぽわわんとしているくせに変なときに勘が鋭くて、心臓に悪い。
ふと、窓の外を見る。太陽が沈んで、街が青と赤と紫に染まっていく。暮れる。
星が降る。空一面の星が降り注ぐ。ビルも道路も何もかも、落ちる星に破壊される夜。
そんな夜でもあの男は、せいぜい傘をくるくる回す程度のささやかな抵抗をしながら、静かに笑って終わりを迎えるんだろう。
希望も絶望もなく、時計の針が12時を廻り静かに今日を終えるように。
自分は、足掻くだろう。みっともなく足掻いて足掻いて、そしてきっと。
彼を探しに行くだろう。
たとえ絶望的な状況でも、彼が居てくれればいい。
そして彼を守って、自分は死にたいのだ。
それをきっとこの男は、同情も軽蔑もせず、ただそっと微笑むのではないか。
(そしてその人生は、本当に幸せだったのかと問いたくなるような表情なのだろう)
「どうしたの?」
帰り道、今日はふたりきりだった。さっき山本の馬鹿が変なことを言ったせいでまともにお顔が見れなくて、仕方ないから別なことをずっと考えていた。
「いえ。別に…」
「ふうん」
そういいながら、十代目の目は全く納得いっていないものだった。ごまかしきれないなあと思う。それを自分はイヤじゃない。全くイヤじゃない。彼のためならなんでもするし、彼の望むことならなんだって叶えたい。だから、そんな風につめられると息が出来なくなりそうになる。幸せだった。幸福のまま死ねれば、いいのにとさえ思う。最後の最後まで、この人を守ってこの人のために生きて死ねれば、それで自分はきっと幸せなのだ。
「今、この星が全部落ちてきたら、きっと皆死ぬんだろうなー…と」
春の星空は冬ほど晴れていないから、ぼんやりとしているように思えた。月は無い。月は出ていない。だから余計星がよく見えた。落ちてきそうな星空だった。だからそんなことを考えた。
「駄目だよ」
はっと顔を上げると、目の前に居た十代目が強い口調で制する。
「みんなで生き残るんだ。俺も、母さんも、リボーンもランボも京子ちゃんもハルも。みんなみんなみんな」
夜空いっぱいの星空を受け止めるように両手を広げる。
「勿論、山本も、それから獄寺君、君も!」
あまりにも楽しそうに彼が笑うから。
「はい!」
彼が言えばみんな生き残ってそうな気さえしてしまうのだから不思議だ。
生きていく。生きていける。
案外雨をしのぐみたいに、傘をくるくる回す程度で、助かるかもしれないな。
『頑張れよ』
余計なお世話だ、バーカ。
星空の下二人で歩く。春の夜風が、心地よかった。
***
20080326
おっとミツル。
獄寺→ツナ→山本が好きなんですよね。全員片思いだよ!萌える。