2011-7-30 02:09
『台詞一つでショートショート』なお題バトンG
『台詞一つでショートショート』なお題バトンG
小説(ショートショート)用の、ちょっと特殊なお題バトンです。
文中のどこでも構わないので
「不幸が一切無い世界がありました。その世界で、虫は蜘蛛の巣に捕まる事はあるのでしょうか?」
を入れてショートショートを創作して下さい。ジャンルは問いません。口調等の細部は変えても構いません。
※今回のお題バトンは、ただこの問題に答えてくれるだけでも構いません。
一応、矛盾しない回答のある問いかけになっていると思います。
------------------
エムブロ!バトン倉庫
mblg.tv
------------------
面白そうなのでひとつ。
けれど最初に言っておく。
私に文章能力を求めてはいけないし、求めたところで徒労だよ?
要は回答できるか、否か。
です。
よろしくです。(へこっ
僕は、旅人に出逢った。その人は、かなりの老年であったが、とても矍鑠(かくしゃく)としていた。歳を聞いたら、誤魔化しているのではないか、と疑ってしまうほどだったが、わざわざ実際より多く言う意味もないのだから、事実なのだと思った。
彼は、旅に出て長いのだと言った。旅に出るきっかけは、僧侶と同じなのだと言う。世俗を捨て、どこか素晴らしい世界を見つけたかったのだそうだ。
僕は訊ねた。
「見つかりそうですかね?」
すると彼は首を振った。
「では、もう諦めたのですか?」
彼は再び首を振った。
「青年。答えを焦ってはいけないよ。まあ、君の歳ならわからなくもないがね」
と笑った。僕は揶揄われているのだと思ってむくれた。彼は尚の事愉しそうに笑っていた。
「一つ問おうか、青年よ。君は、"幸せ"とはなんだと思う?」
僕は首を捻った。そして、一般論を言ってみた。
「水や食事に困らなくて、好きな人と一緒にいられる生活ですかね?」
「それが青年の"幸せ"かね。いやなに、否定するつもりはないさ」
彼は嬉しそうだった。僕には、彼がよくわからなかった。
「ではもう一つ問おう。不幸が一切無い世界がある。その世界で、虫は蜘蛛の巣に捕まる事はあると思うかね?」
僕には、質問の意味がよくわからなかった。けれど、思った儘に答えを口にした。
「有ると思います」
「なぜだね?」
「虫が捕まらなければ、蜘蛛は生きる糧がなく死に絶える。不幸でしょう。けれど虫には花や果物の食べ物があるから、子孫を遺し次を生きることが出来る。虫にとって、喰われることは不幸だとは思わないでしょう。次を生かす糧に、延いてはなるのですから」
彼は頷いていた。答あわせを彼に求めると、彼は不正解だと言った。
「答えは、無いだ。何故なら、人が蜘蛛も虫も排除して、世界からいなくなってしまうからだ
」
「そんなの、ずるいですよ…」
「何を言うかね。君は、好きな人と共に居たいのだろう?その人が虫や蜘蛛が嫌いなら、潰して安心させるだろう?だから、虫の類いはいないのだよ」
僕には、頷くことも否定することも出来ず、ただ震えているだけだった。
おわり。
******
長いかな…。
東洋人には、理解が難しい内容だったりする…。どちらかと言えば、狩猟民俗の根底に触れるところでありますので。
まぁ、最近の人ならわかるでしょう、と、思ってる。
この老人の求めていた"素晴らしい世界"は、本人が言っていた世界なのかなぁ…。
私は嫌だなぁ。
まぁ、だからこそ、この老人の求める世界は無いのかなぁ…って気もするけど。もしかしたら、青年のようなお花畑を目指しているのかもね。なんとかの川を渡った先の、お花畑を…←
特に決めてないので、老人の行き先はご想像にお委せ致します^^