父の愛した店


私の父は60年近く
呉服店をやっていた

お店は三回引っ越した
どのお店も手入れが行き届いた綺麗なお店だった


父は店を子供のように愛していた

四季折々、行事ごとに陳列を変え、着物と帯を飾っていた


ある時、店の二階の住まいからの階段で転んだときも、大事にはならなかった


ああ、お父さん、あなたがまだ生きていたら

店も有ったでしょう

ピカピカと磨き立てられていたでしょう

父は認知症になりデイサービスに行くようになった


そして首にできた悪性腫瘍が元で亡くなった


高齢なので医者も手術を勧めなかったから


ああ!お父さん!


あなたは私達の誇りでした



空気が燃えている



外に出ると

空気が燃えているのがわかる


風が強い


空気は白く燃えている


火事場のような暑さだ

これでは生きていけない

家にとじ込もるしかない



桃源郷



桃源郷


に暮らす 四人


山また山 海また海

 湖のまた 湖


空気は甘く 


 空は澄みきる


雲は 仙人の乗り物みたい


 桃源郷 


桃色 の 雲が


棚引くよ


 人間界にも



山また山 海は煌めいて


湖は底知れぬ深さを秘める


あの山は煙を吹いている


この山は水蒸気を

上げている




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