私の父は60年近く
呉服店をやっていた

お店は三回引っ越した
どのお店も手入れが行き届いた綺麗なお店だった


父は店を子供のように愛していた

四季折々、行事ごとに陳列を変え、着物と帯を飾っていた


ある時、店の二階の住まいからの階段で転んだときも、大事にはならなかった


ああ、お父さん、あなたがまだ生きていたら

店も有ったでしょう

ピカピカと磨き立てられていたでしょう

父は認知症になりデイサービスに行くようになった


そして首にできた悪性腫瘍が元で亡くなった


高齢なので医者も手術を勧めなかったから


ああ!お父さん!


あなたは私達の誇りでした