この前、聖地秋葉原に行ってきました麻河蛍夜です、こんばんうにに
色々あって母上に「薄くて高い本は卒業しなさい」とか言われたり、妹君に「あたし、そういったヤツ耐性あるから、大丈夫だからね!」とか言われて動揺してます
母上の台詞には「無理」って即答しましたけど。妹君もやはり腐って……しまったのだろうか(´・ω・`)
「カイト受はぁはぁ」とか言われたらどうしよう(知るか
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空前の帯マスブームです
勢いにのって軽く作ってみたものの、最初だけ、ただのマスター紹介ちっく^ρ^
気になる人だけ追記でどぞ
無駄に長いです
こんにちは、僕の名前は嵯峨山橙太。
……なんだか厳めしい名前ですが、なんてことない。
奥さんに振られた、ただのバツ1です。
遡ること、数十年前。
当時16歳だった僕は、バイト先の年上のお姉さんとお付き合いしていた。
………そして、その彼女を、孕ませてしまった。
僕は未成年。
両親にも相談できず、悩みに悩んでいる間に彼女は可愛らしい男の子を出産。
僕は二十歳になると同時に入籍。
僕に落ち度があったわけだし、両親の反対を押しきって婿養子。
そして、そんな結婚から早13年。
僕たちは、離婚した。
「はぁ」
色々あるけれど、一番の大きな理由は。
「……………」
彼女の長年に渡る。
そう、
「いや、僕と会う前からってことは僕の方が浮気相手ってことなのか」
浮気だった。
しかもその相手とは僕と出会う前からの付き合い。
そして17年前に生まれた息子も、僕の子ではなかった。
「離婚しましょう」
「………はい?」
「私、貴方のこと好きでもなんとも無いの。ただ、相手は既婚者で結婚出来なかったし」
父親が居ないのは八十が可哀相だったから。
と、彼女は言いながら僕の前に彼女の名前と拇印が捺された「離婚届」を差し出した。
因みに「八十」とは息子の名前。
「待って千代子さん。ちょっと意味が解らないんだけれど……」
「彼、近々離婚するらしくて。だから私は彼と結婚したいの」
そうして僕は全てを知った。
………八十も。
「は……冗談だろ?」
「こんな嘘を吐く程暇じゃないのよ、八十」
「千代子さん!……いくらなんでも展開が早すぎる。八十はまだ高校なんだよ?こんな大切な…もっと慎重に」
いきなりの事で放心状態の八十を庇うように彼女の前に進む。
ぎゅっと服の背中に皺が寄る感覚がした。
「俺………父さんの子じゃないのか?」
「八十?」
「彼と奥さんの間は子供に恵まれなかったらしくて。八十は本当は私と彼の子なわけだし、このまま家に居てほしいのだけど」
「…………ふ、ざけんな!!いつもいつも我儘言って父さん困らせてて、挙句に今の今までも父さんを騙してた、だと!」
「八十!」
「俺は絶対にアンタとは一緒に暮らさねぇ!」
「八十………」
八十はそうやって怒鳴った後、僕の腕を掴んで部屋を後にした。
「……八十、あんなに怒鳴ったりして。昔から喉が弱いんだから、駄目じゃないか」
「……………父さん」
「うん?」
苛々している八十を宥めるように背中を叩けば、一気に脱力したように肩の力が抜けたのが解った。
「その、ごめん」
「そうだよ。喉が腫れたらどうするの」
「そうじゃねぇだろ!父さん、今まで騙されてて……必死に働いて、知らない奴の子供育ててたんだぞ?」
「知らなくないよ。だって、八十は僕の子だから」
「!!」
「でもなぁ……流石に今回は…。千代子さん、家を一週間以内に出ていってくれとか、あまりに早いからな………」
ううん、引っ越しとかどうしようか。
一人ならまだしも、八十もいるし高校のこともある。
「俺、とりあえず高校出るまではこっちに居る」
「八十?」
「父さんだっていきなりで困るだろうし……大学進学と一緒にここを出るよ」
「でも千代子さんが」
「それぐらい良いだろ。向こうは俺に居てほしいみたいだし、学費養育費分捕ってやる。あ、名字は父さんの名字に変えるから!」
「ちゃっかりしてる所、千代子さんにそっくりだね」
頼もしいよ、と言えば八十は顔を思いきりしかめた。
で、その一週間後。
僕はこのアパートに来ていた。
家賃は、ここら辺の値段に比べたら格安。
なんでも「幽霊が出る」とかで安いそうだ。
僕は幽霊とかは信じていない質だし、霊感とかもない。友人にもお前の鈍さに右に出るものはいないとよく褒められる。
八十と一緒に暮らすための費用も貯めたいし、出来れば安いにこした事はないのだ。
「ふう……荷物、少ないと思ってたんだけどな」
お昼前に始めた荷物搬入作業は思いの外手間取り、窓から射す光はオレンジ色になっていた。
「やっぱり幽霊は夜じゃないと出ないのかな」
昼夜問わず誰もいない筈のこの部屋から謎の物音が聞こえたり、窓からぼうっと人影が映るというような話だった。
「ま、良いや。とにかく荷物をしまっちゃ」
ドサリ
「…………………ん?」
奥にある、襖を開けたと同時に。
「……ます、たぁ?」
何か黒い物体が飛び込んできた。
「え、え、え、え?」
「ますたー………ちがう、だぁれ?」
「うーんと、君も誰かな?」
「………」
「ちょ、君、大丈夫っ!!?」
黒い物体から、鈍い光を放つ瞳を確認したと思ったら、それはぎゅうっと悲しげなものになり、途絶えた。
「…………息は、してる、けど」
もしかして黒い、彼が噂の幽霊?
「取りあえず寝かせよう」
彼を運んできた小さめのソファに寝かせて、荷物整理の続き。
起きた時に綺麗な部屋の方が安心出来るだろうし。
「うんしょと……よし、片付いたかな」
「んっ」
「あぁ、目が覚めたかい?」
「ここ………ますたーは」
「えっと、ここは僕の部屋。僕の名前は「ますたー」ではないし、君はもう」
幽霊なんだし、死んでいるんじゃないかな。
とは言わなかった。だって、さっき触れたわけだし、もしかして幽霊じゃない?
「違う、ここはマスターの部屋!」
「うーん………もしかして、それは前の部屋の持ち主なんじゃないかな」
「そんな、マスター、だって、ここで待ってろって。ボクがいい子にしてたら戻ってくるって……」
彼はそれだけ言うとひくひくと泣き出して、包帯を巻いてある手首を掻きむしり始めた。
「―――何してるんだっ!」
「はな、してっ!!」
「駄目だ。ほら、血が滲んできてる」
ちょっと待ってて、と、よくヘマをやらかしてお世話になっている救急箱の中から新品の包帯を出して彼の手首のものと取り替えた。
「これで良し、っと」
「……」
「よく解らないんだけど、その、ますたーさんが何処に行ったか検討はつく?」
ふるふると首を振る彼。
「家族は?」
「ボクには、マスターしか……っ」
「そっか。……それじゃあその、ますたーさんが君を迎えに来るまで一緒に暮らそうか」
「…………………え?」
「だってアテ無いんでしょ?僕、初めての一人暮らしで正直寂しかったし……君が居てくれたら嬉しいかなって」
「……………変なの」
僕としては君の方が変な気がするんだけどな。
「それで良いかな」
「好きに、すればいい」
「あ、僕の名前は嵯峨山橙太」
「帯人」
「帯人くんね。これから、よろしく」
「マスターが帰ってくるまでだけど」
なんだかよく解らないけど、僕は幽霊改めて包帯とマフラーに包まれた帯人くんと暮らすことになった。
End.
マスターは馬鹿のつくお人よし
息子の八十は「やそ」って読みます
因みに、八十君は青マスターにボカロを教えた例の彼です
重要、あるかな……(´・ω・`)