商店街は様々な店が声を張り上げ、お客を
引こうと一生懸命だった。
「さーあ!安いよ安いよ!寄っとくれ!!」
「らっしゃい!」
「えー、整理券を配布しておりまーす!」
いろんな声が聞こえる中に
アルナとルスクは早歩きでやって来た。
「良い、ルスク!ここの店バーゲン狙いよ」
「ホントに行くの?アルナ」
強気なアルナに対し弱気なルスクだった。
「皆さん、只今よりセールを開始します!」
「始まったわ、行くよルスク!」
「待ってよアルナ」
二人の手はしっかりと握られていた。
一方、思い出の場所では皆が疲れていた。
「はひーっ!!もう腹減って動けねぇよー」
「きっとバーゲンセールへ行ったのね」
「アルナは特に行きたがるからね」
あはははははと皆で笑い合っていた。
「マルク、どうかした?」
しきりに外を気にするマルクに声を掛ける。
「何でもないよ、ティナ」
そう言いながらもやっぱり外が気になる。
「アルナの事気にしてるのねー?」
「そ、そんなんじゃないよ」
「でも、この間アルナの事相当気にしてた」
皆からからかわれ必死になって「違う」を
連呼するマルクを見つめて、ティナが
ため息を吐いた。
「アルナかぁ、やっぱ可愛いよねー」
「ん?何か言ったか、ティナ」
「あんたにゃ関係ないでしょ!!」
「いでーっ!!」
平手打ちを食らってラッツが叫んだ。

緩い丘の上を登って2つの影がやって来た。
「遅くなっちゃったね」
「アルナが欲張るからだよ」
「ま、ゆっくり帰りましょ!!」
アルナとルスクがらんららんららーんと
繋いだ手を振りながら、思い出の場所へと
足を早めた。
丘を登り終えたアルナとルスクが
ふと空を見上げると
太陽が燦々と輝いていた。
「明日も晴れそうねー」
「そうだね、皆お腹空かしてるだろうなー」
そんな会話をしながら2人して苦笑いし
家のノックをコンコンと叩くと
見慣れた顔が覗き込んだ。
「アルナとルスク帰って来たよー!!」
そう聞いて、マルクはホッとしたように
1人胸を撫で下ろした。