その日は良く晴れていた。
暖かな光が窓を通しても感じられる程
気温の高い1日だった。
時は流れ、平和な日々が過ぎていった。
「あぁっ?!今、なっつった?!」
「じょ、じょ、冗談だよ!ほら、練習練習」
ここは、見晴らしの良い丘の上に建てられた
別名「思い出の場所」と言う家。
中は暖房冷房完備、音響効果があるうえに
外に迷惑を掛けない防音製の板を使って
建てられている。
そんなこの家に住むのは個性的な奴等。
毎年行われている、ダンスの大会。
1等になれば賞金3000000円が手に入ると
あって、この近くでは
もっぱらの一大イベントとして
知られていた。
「こらぁ!そこ!ダラダラしない!」
「ふいーもう疲れたぁー!!」
「しょうがないわね、じゃあ休憩!!」
「やほーい!!」
ラジカセの音楽をプッシュして音を止めると
タオルで汗を拭った。
「お疲れ様、ティナ!」
「うん、有り難うサイリス」
「オレっちのはー?」
「自分で取れば?」
明るい金色のくるくるした髪の毛のティナ
真っ黒なロングヘアーのサイリス
そして賞金を狙うイケイケボーイ、ラッツ
「ちぇーっ」
渋々自分でドリンクを取って、ラッツが
飲み始めた。
「ぷはー!!ウメェ!!」
すると、2階の一室のドアが開いた。
「皆、マルクが気が付いたぞ」
それを聞いて3人が一斉に振り向いた。
「ホント?!ターム」
「良かったね」
「さすがオレっちの弟子」
「あんたは何もしてないでしょ!!」
ティナのげんこつがラッツに落ちた。
「いてーっ!」
ハハハと笑いに包まれる。
「皆、心配かけてすまない」
「マルク!大丈夫?」
ティナが心配そうに声を掛ける。
「ああ、アルナは?」
「アルナならルスクと買い物じゃない?」
「そうそう」
それを聞いてマルクが少し安堵の表情を
浮かべた。
「そのうち帰ってくるわよ」
「そうだな」
「オレっち腹減ったぁぁぁぁぁ!」
ラッツの声と共にお腹がぐぅと鳴った。
「はいはい!練習練習!休憩終わりよ!!」
「うへー」
ティナの言葉にラッツが舌を出して呻いた。

家から近くの商店街。
そこに、2人の姿はあった。
綺麗に纏めた髪は
腰の辺りで揺れている女の子。
そして、手を繋ぎ横を歩く男の子。
「アルナ、皆が見てるよ」
「いーの!ルスク、行くよー」
そういうアルナの頭には真っ赤なリボンが
揺れていた。