激しい術式同士がぶつかり合って
爆発を起こす。
「く、くそっ!」
「どうした、もう終わりか?」
ついに力尽き倒れ込む姿をみて相手の術式が
一気に入って来た。
「ハハハハハハッ!!」
「ぐあぁぁぁぁぁ」
魔方陣へ近付き支えている支柱を弾き返す。
「な、何だ!これは!?」
グァングァンと音を立てて魔方陣が揺れる。
「イヤぁん何よこれ!?」
そこには1人の女の子。
すやすやと眠りについている。
「くそっ!やられた!」
踵を返すと俯せた姿がニヤリて笑って
事切れた。
「おのれ!!」
「何よ、単なる時間稼ぎなの?許さない!」
ゴウッと火柱が上がり
たちまちキナ臭い匂いが辺りに充満した。
辺りがシーンと静まり返る。
焼け焦げた人影が手を伸ばす。
魔方陣が光に包まれ元の姿に戻った。
身体中で力を振り絞り、封印を施すと
走ってくる姿が名を呼んだ。
「ファルヴァル先生!」
駆けて来る姿が掠れて見えなくなる。
「先生!先生!しっかりして!」
「おお、無事か」
何とか絞り出した声。
「先生、僕は、僕は、きっと強くなる!」
涙声で顔を埋める。
「だから、だから、だから心配、しないで」
「はぁ、な、何を心配、す、す、す」
苦し気に身体がビクンビクンとうねる。
「先生!!」
「あ、が、と、う、げ、元気、で」
握り締めた手がするりと抜け落ちた。
「先生ーっ!!うわーんっ!!」
やがて、数人の足跡が聞こえて来た。
「兄貴!?嘘、だろ?」
「リーヴィルぅぅぅぅぅ」
駆け付けた救護班は首を横に振るだけ。
「そんな、そんな、兄貴」
辺りは風が吹き抜けていくだけだった。

「兄貴、さぞ無念だったろうな」
埋葬が静かに行われた。
「うっ、うっ、うっ」
泣きながら花を飾り付ける。
「僕、頑張る!先生の教え、絶対忘れない」
「兄貴、後の事は任せてくれ」
そして、お別れの時が訪れた。
空は薄い雲に覆われたはっきりしない
天気だった。