雨穴著。飛鳥新社文庫。
こわあああああ。
こういう後味系のホラー怖いよねえ。
雨穴さんの動画ここ最近でほぼ見尽くしてしまったんだけど、
後味系うますぎるわ。人形の話の「同名の人物」とかめっちゃぞっとした。
でもわたしはおせちシリーズが最高にすきです。
あと音楽も。
わたしも文章書くの大好きで工作、工芸が好きなイラストレーターっていう、
多趣味のちょっと器用な人間なんだけど、
器用貧乏すぎて結局特段好きでもないイラストだけが仕事にできるレベルになってしまって
毎日鬱々としながら絵を描いている……
それに比べ、雨穴さんの粘土、物語構成、音楽、文筆、DIY、プログラミング、動画編集、なによりそのアイデア力とプロデュース力とユーモアのセンスetc...
多彩すぎる。
モンスターである。
まあどこまで一人でやってらっしゃるのかはわからないけど。
謎すぎて好きすぎる。
やっぱりクリエイターに尊敬する人生だなあ。
さて、変な家、ですが。
実は本屋でこの文庫本に出逢うまでこのトピックス、ひいては雨穴さんの存在も知らなかった。
「YouTubeで話題の」みたいなポップ?帯?を見て正直買うか迷った。あとコミックも売れているらしいと、その場で書いてあったはず(映画の情報もあったかな?)。
YouTubeが出所のノベライズ、コミックスのノベライズ、だったら買う気全く無かった。
わたしはかなりの原作至上主義者なので、読むなら原作、最初に当たるなら源流、となんとなく、でも強いこだわりがある(ほんとは捨てたいこのこだわり。面白けりゃいいじゃん!って思う。でも原作より面白かった他媒体にであったことないっていう経験からの呪縛)。
でも結局本屋では、コミックスが原作ではないことはわかったものの、動画とこの小説のどちらが先かまでがわからなかった。ちょっと調べればわかったんだけどその時時間がなかった。
んで、結局、「動画では明かされなかった真実」「動画の完成版」みたいなこれまたポップか帯かの情報で、
「この本が出るので半ば宣伝のような動画が作られたのか、動画がバズってノベライズになったのか」の判断はつかなくて、
まあ物語の全容がこの一冊で収まるなら、と、「完全版」の言葉を信じることにした(知らない人いないだろうけど事実は動画が先です)。
あとは著者とその動画のYouTuberが同一人物ってことで「YouTuberが小説家の真似事か」という懸念もあったが「原作者が一緒」っていうことで何度も置いたこれをまた手に取り、
「2023年一番売れた小説」っていうアオリでまあそれなら一読してみるか、となりました(流行りに乗る云々は、実はBBAになったわたしにはそこまでの抵抗はもうない。自分の面白くないだろメーターにひっかからなければむしろ喜んで積極的に手に取る。メーターの判定基準は、上に書いたようなもの以外にもたくさんある。他側面の繊細な経験則による)(既に『変な家2』もあったけど、そこは以上の懸念点により、これを読んだ後に買うかどうか決めようということになりこれだけ買った)。
でも実際読むまで本開かなかった自分にびっくりしたけど、本屋で開いてたら買わなかっただろうなって思ったわ。
開けばわかるんだけど、物語としての体裁を保っているとは一見して到底見えないんだよね。
地の文ほとんどないし。「筆者」出てきちゃってるし。まるで雑誌のインタビュー記事みたいな書き方だし。文字の密度低いし。
まあでも読み終わって、あああの時本屋で軽率に開かなくてよかったっておもったわ。その情報だけでメーターは面白くないだろ数値に振り切ってたはず。
その後買い溜め気質のあるわたしらしく何週間かこれは家に鎮座してたけど、
その間に雨穴さんの動画がYouTubeのおすすめに出てきてなんとなく観たら気づいたら次々と再生してたってかんじで…
チャンネル登録に消極的なわたしがついに登録して、耐えられず読みました。
普段のわたしの本屋さんで本を買う基準、ほとんど波長が合うかどうかで自分でも昔から一期一会だと言ってて、それを言語化するのはすごい難しいんだけど、
ここまで長々と書いてあれだけどこれに関してはかなーりわかりやすい方ですわ。
んで内容、内容、ね。
すぐに動画が先だとわかってそれも見たあとだったから、蛇足なんだろうなって少しは思って、まあそれも多少はあるなとは感じたけど、
でも総じて面白かったです。
何より小説の体裁が整ってないからか逆に超読みやすくて、
これは普段小説を読まない人でも読めるから売れたっていうのもあるんだろう…とか邪推したり。
まあでもそれはあるだろうね。
わたしでも2時間くらいで読んでしまったし。
次々といろんなことがわかってきて、それが全部ぞっとする展開で、よかった。
以下ネタバレあり。

普段から殺人を行うために作られた殺し屋の家、っていう猟奇的な設定で動画含め最初の一軒めはぞぞぞってするんだけど、
儀式は一年に一度、それも3.4回のため、っていうとこで物足りなさを覚えた。
しかも実際殺人起きてないっていう。
でも冷める反面、雨穴さんらしいなって。
そこでリアリティを持ってきたか。
儀式という非現代的なものを軸にしたから、殺人屋敷という非現実的さ、あからさまな作り話っぽさを削ぎ落としたのだろう。
うーん、うまい。
そうやってめっちゃ怖いけどまさかそんなことないよねって読者(視聴者)にわざと(?)思わせて、
オチで「もしかして?」「そういうこと!?」って後味で叩き落とすのうますぎるしそれがいっちゃんぞっとするから面白い。
あとホラー然としたおどろおどろしい表現を敢えてしないのも雨穴さんの特徴だよね。
人怖が好きなわたしは雨穴さんと相性いいなって思います。
『変な家2』も『変な絵』も買います。とても買います←

次は戻って『高校事変V』読みます。