常緑の生け垣がまるでクリスマスツリーのように輝いていた

ここは住宅街、

天上からラファエルが下界を見降ろしていた


あと3日でイエスの生まれた聖なる日、

その祝日をことほぐために

天使ラファエルは頭を悩ましていた


誰を召し人にするかを


召し人は人間でなければならない


そして清純な乙女でなければならない

年齢の制約はなかった

そんなことを考えながらラファエルはこの住宅街に降りたったのだ


服装は天使の羽根を隠せる

白い緩やかなツーピース

だが輝いていた


あたりはもうすぐ日が暮れる

日没の美しい照り返しが

空一面をおおっていた


よしっ!

ラファエルは柄にもなく声を上げた


召し人になれそうな女性を見つけたから

彼女、アンジェリカはパーティーの花を探しに歩いていた


しかし、花よりもアンジェリカには探しものがあった


そのせいか、幾分、落ち着きがなく見えた


アンジェリカは自分を見つめる視線に気がついた

それは柔らかく優しく、
高貴なものに思えた

身震いすると、そっと右手を振り向いた
ラファエルがそっと微笑していた

まるでお母さんのようだった

アンジェリカは生まれて間もなく母を失っていたので、

あまりのことにみるみる涙がわいてきてしまった
もちろん、初めての体験

見知らぬ人の視線に感動的に泣くなんて・・


すぐにアンジェリカは自分の思いを打ち消した

アンジェリカは実は、母に置き去りにされていたのだから


ラファエルはアンジェリカにそっと問いかけた

神々をどう思うかを