運命


なんで岐阜から京都なのかと言われたら、岐阜から愛知の大学に言っている先輩を見ていると、なんとなく学校に行って、茶髪にして、半分は遊んでて、部活にOBとして顔を出しに来て、ちょっと同窓会みたいにたむろってお喋りする、というイメージがあった。私はなんだかそうなりたくなかったし、真面目に勉強してサークルとかも全力でやりたかった。
愛知は心理学部の偏差値がすごい高い大学か低い大学しかない両極端だったから、自分に合った大学にいきたかったし、京都の大学は教授がなにより魅力的だった。親と何度も激突したけど、わたしは頑として引き下がらなかった。親も折れて京都に決まった。
京都に行ったらなにもかもが新しくて知らないことばかりで戸惑った。人は冷たいし関西弁だしバイトではよそ者とおばちゃんに言われたりした。
大学はカリキュラムとか授業をとるとかの意味がよくわからずこんがらがった。でもいつのまにか地方から来た友達ができて、カフェサークルに入ったりダンスサークルに入ったりして、先輩に色々助言してもらってなんとかやっていた。
高2から付き合った彼氏がいたけれど、遠距離になったのと元々関係が冷えきっていたから大学1年の春に別れた。

それからは彼氏ができたりバイトしたり講義受けたり本当に充実していた。

20歳、地元の成人式に参加した。ギャルが多かったから私は敢えて清楚にお団子で白地に桃色の桜柄の振り袖で参加した。みんな顔が変わってて驚いたり変わってない子がいてみんなで笑った。色んな子と写真を撮っていたら、背の高い大人しそうなスーツの男性がいた。
かなり渋くなったし男の人になってたけど、目をみれば凌だとすぐに分かった。
話しかけるか迷ったけれど、もう過去のことは時効だと思った。勇気を出して「凌だよね?」と声をかけると「・・おお、久しぶり」と低い声で言った。なにも話すことが浮かばなくて「写真、写真撮ろ」と言った。初めてのツーショットが、成人式になるとは思わなかった。

大学4年になり、地元で同窓会が開かれた。私はふと凌のことを思いだし、凌も来るのかな?会えるかな?と少しドキドキしていた。
当日、凌は来てなくて心底がっかりした。その時わたしは彼氏もいなかった。同窓会に来た子に凌の連絡先を知らないか聞いたけど、みんな知らなかった。ミクシイもFacebookもやっていなかった。でもわたしは何故か凌が気になってしまい(恋愛感情かは謎)、京都に帰る直前に、卒アルに書いてあった彼の住所に手紙を書き、投函した。
内容は、今元気かなということ、自分は今京都の大学にいっていること、今どこでなにをしているかわからないけれど、実家の住所しか分からなかったからいきなり手紙を出してごめん、この手紙が無事届いたら、よかったら連絡をしてと自分の連絡先を書き連ねた。
それから毎日毎日ポストとメールをチェックするけれど、待てど暮らせど1週間返事がなく絶望。もう実家に住んでいないか、手紙を捨てたか、わたしが嫌われてるのかありとあらゆることを考えスーパーネガティブに。あきらめかけ、ゼミ合宿に旅立って翌日、ケータイに1件の見たこともないアドレスからのメールが来ていました。