運命

高校に入り、わたしは部活と勉強の両立でいっぱいいっぱいだった。友達もできたし、先輩に告白されて付き合うようになった。
同時期、凌は高校に入って中学からやっていた野球部に入ったけれど、腕を骨折して辞めてからは学校をよく遅刻したり、バイトしたり、ゲームにはまっていったらしい。工業高校だから女の子とも縁がなくて、ずっと男友達とつるんで遊んでいたらしい。
凌とは全く関わることはなかったし、わたしも毎日がめまぐるしくて、思い出すこともなかった。

高校1年の冬のある日の夕方、凌はわたしを地元の駅で見かけたらしい。わたしは全く記憶にないけれど。彼は私のことが忘れられなくて、私の告白を断って傷付けたことも後悔していて、その1週間は、私を見た時間に合わせて帰ったけれど、もう私に会うことはなかったと言っていた。

私は臨床心理士を目指し京都の大学を受験し、合格した。凌は地元の会社を受けて採用された。
私は引っ越して、地元に帰ってきても親友以外とほとんど会うことはなかった。