運命

同じ班のわたしと同じ名前の凌の彼女。その子は男子の前ではぶりっ子になり、女子から嫌われていたし、わたしも好きではなかった。凌、目を覚ませとも毎日毎日思ってたし、その子は凌の知らないところでは他の人の悪口ばかり言っていたし、凌の前ではベタベタする子だった。
2人なんて別れればいい、凌にはもっといい子がいるよ。目の前で仲良くする二人にわたしは最低なことを考えていた。

堪えかねたわたしは、ある日凌に「あの子、裏では人の悪口ばっかり言ってるよ」とつい言ってしまった。凌は目を丸くして黙っていた。その後凌も色んな人に冷静になってその子のことを確かめたら、みんなその子を嫌っていたらしく、結局付き合って2ヶ月ほどで凌が冷めてその子を振って別れた。
その後の班の雰囲気は最悪で、わたしもなんでこんなことをしたのか後悔と罪悪感で、2人に素っ気ない態度しかとれなかった。そして1年は終わり、そのままクラス替えになった。わたしは凌が好きでも、彼と彼女の間を悪くした人間だし、告白する権利もない、そう思って凌をあきらめようとしていた。

凌とはそれきりで、同じクラスになることもなければ、言葉を交わすこともなくなった。わたしはわたしで部活が忙しかったり、好きな人ができたり、付き合ったりした。
中3のとき、凌とは塾で一緒になった。でも大きな塾で10クラスぐらいあり、凌はわたしよりずっといいクラスにいたし、階段ですれ違うことがある程度だった。もうなにも感じなかった。
凌のことは小6の告白を時々思い出しては泣いたけれど、徐々に記憶から遠退いていった。
凌は地元の工業高校に受かったと噂で聞いた。わたしは進学校の普通科高校に合格した。
卒業式ではわたしは好きだったクラスメイトに第2ボタンをもらい、私から告白して付き合うことになった。凌はこの頃、クラスメイトに友達伝いで告白されたけれど断ったと最近語っていた。