話題:運命

研修2日目。凌の後ろを大橋くんと一緒に歩いていると「凌さ、彼女と上手くいってないみたい」と打ち明けられた。わたしは「ああ、そうなんだ」と素知らぬ顔をした。
たしかにわたしは、凌と付き合っているその子が凌と一緒にいるところを見たことがなかったし、違うクラスだったから接点もほぼなかったように感じられた。目の前でひとりで歩いている凌は孤独に感じれた。だけれどわたしは、小学生のとき感じた使命感なんてのはただの自分の思い込みで、彼はわたしのことなんてどうでもいいんだと、そう思っていた。

6月7月、大橋くんとは付き合ったけれど、男の子としてみていたのに、異性として距離を縮めてくることか怖くなって冷めてしまい、わたしは別れを切り出した。中学なんてそんなものなのかもしれない。凌も彼女と別れたと噂で聞いた。

中1の秋、どういう運命か、凌とふたたび同じ班になった。その頃には普通に会話をするようになっていたけれど、わたしの傷付きは消えなかった。
けれどやっぱり彼は優しくていい人で、また好きになってしまった。2回目の恋だった。けれど彼は同じ班の子と付き合った。彼女はわたしと同じ名前だった。わたしは毎日見守るしかなかった。学校にいくのが本当につらかった。