生存確認
 モズ氷(dcst)
 2021/2/17 03:29

男の乳首なんて、体の前面と背面を区別する為に付いてるだけだと思ってた。そんな認識だから隠そうが出そうがどうでもよかったし、触ろうなんて思った事は生まれてこの方一度もなかったのに。
肉が詰まってぱんと張った周囲の皮膚とは違う感触に指先を這わせる。平坦なだけのそこが徐々に芯を持ち、指で摘まめるまでの明確な形を作って勃ち上がる。マスクの中で少しずつ呼吸が荒くなっているのが、頬同士が触れる距離だからこそ解った。

「恥ずかしい…?」
「……っ…」

誰が、と反論したかったのだろう声は、しかし主張し始めた粒を摘まみ上げた指によって止められた。彼らが船に積んでいた小麦粉とやらを捏ねて小さい粒状にする、ちねり米だか何だかというものを作る時の指使い。…順番が逆か。俺が女の子の乳首を捏ねる時の指使いが、ちねり米を作る時の指使いと同じだったのだ。
兎に角その指使いでくりくりと、慎ましくも存在を主張する小さな粒を捏ね回す。マスクをしていて暑いからだと言い訳するには少々きつい程に顔を赤くし、時折堪え切れなかった声が僅かに洩れる。どうせ聞いているのは俺だけなのだから、堪える必要なんてないのに。どんなに堪えた所で、最後には身も世もなく泣いて縋るのだから。

激しい行為の後、食堂で出されたちねり米を前に、これ氷月の乳首だと思って頑張って作ったんだよと言ったら。君は一体どういう反応をするかな。
少し強めに乳首をつねりながら、喉の奥で笑う。訝しげな視線を寄越す氷月に、今何を考えているか正直に言ったらぶん殴られるなと思ったら、尚更笑えた。

c o m m e n t (0)



[ 前n ]  [ 次n ]
[ 購読 ]/[ TOPへ ]




-エムブロ-