運命

昨日くずくんの送別会がありました。そこでまるで知らなかった空白の凌との時間、気持ちをくずくんと凌とも仲がよかった子(同じ中学、工業高校)に聞かされ、ああ、凌とのことを運命と感じていたのは、あながち間違いではないと、そう確信しました。裕子からも、運命なんじゃないといわれました。なんだか自分の視点と凌の視点が混ざりあってこんがらがったので、まとめてみたいと思います。

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小学5年生、田舎の小さなわたしの小学校に、一人の男の子が転校してきた。
こんな時期に転校だなんて、なにか訳ありな感じだけど、明るくて活発な小柄なその子は、すぐに人気者になった。凌という名前だった。

小学6年生の秋、わたしは凌と同じ班になった。ただのクラスメイト、班の一人、ただそれだけだった。だけれどよく晴れた日、休み時間、なぜか彼はわたしだけに、離婚して会えなくなったお母さんとのプリクラが貼られたキーホルダーを見せ、「これ、お母さんとの最後の写真」と言った。いつも明るいのに、そのふいに寂しげな横顔をみて、わたしがこの子を支えてあげないと、と思った。

小学校卒業式の翌日、裕子と好きな人に告白することを約束してた。裕子は凌の親友、わたしは凌に告白した。わたしは夜、かけたこともない凌の家に冷や汗をかきながら電話をし、「好きです。付き合ってください」それだけ伝えた。凌はそのとき「・・・いいよ」と言った。わたしは有頂天で、嬉しくて浮かれながら晩御飯を食べた。そのあと電話が鳴った。とてもイヤな予感がして、出たくなかった。けれど取るしかなかった。相手はやっぱり凌だった。申し訳なさそうに、聴いたこともないような沈んだ声で「やっぱりごめん」言われたことはそれだけだった。

わたしは初めて失恋をした。天国から地獄だった。しばらく毎日毎夜泣いて過ごした。すごい恥ずかしかった。裕子も凌の親友にふられた。二人して泣いた。
でも中学校に入ったら、わたしは当時男の子みたいな外見だったけど、女の子らしくなってやるし、絶対変わってモテてやるし、凌なんかどうでもいい、見返してやる、そう思ってた。