話題:苦しいよ




ひどい言葉をかけてしまった。

昨日の電話で。





「まきちゃん、一緒にマラソン走ろうよー」

「えー、なんキロ?」

「うふふ、42キロー」

「そんな走れるようになる気がしないよ」

「半年くらいあるからさ、大丈夫だよ」

「うーん、来年走るよ、今年はやめておく」

「なにそれ、ふふふ」

「なんで?」

「なんかさ、来年走るよっていうのが面白くて。ただ断るだけじゃなかったからさ」



ここからね、私の失言。



「今年はなにかと忙しいからさ、わたし、走れないよ。来年なら走れるかもしれない」







本当です。
本当のことです。

就活やら論文やら忙しくて、今年の私はとてもこつこつマラソンを走る準備をする気力はなさそう。でも本当だからいいってもんじゃないよ、いつも。

彼も私も、そこに言外の意味を見い出してしまった。




"あなたはいいの?あなたは暇なの?"





ゆうちゃん、暫く黙っちゃったよ。


その後も「あなたは今までも走ってきたから大丈夫。頑張りながら走れるよ。今回も走りなよ」って言っても「、、、走らない」って言うばかりで。


走るのも彼の楽しみのひとつなのに、私はそこに罪悪感を植えつけてしまった。
「本当に走ってていいのか?」って彼自身も不安だったと思うのに、それをより強固にしてしまった。これから彼は楽しむことを罪悪だと思うようになってしまうかもしれない。大切なことなのに、本当に大切なことなのに。





私、彼がマラソンを走れるようになったとき、本当に嬉しかったの。
すごく嬉しくて、"やった!"って何度も言ったのに。あの頃は彼の幸せを祈れていたのに。





私は彼と幸せになりたいだけで、彼の喜びを奪いたい訳じゃない。






暗くなってしまった彼に何度も「ごめん」って言った。その度に彼は「なんで?まきちゃんは間違ったこと言ってないよ」って弱々しくわらうだけで。



間違ったことは言ってないかもしれない。でも、間違ってないことが常に最良ってわけじゃない。

私、悪い事を言ってしまった。