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……今日も無駄な人生を生きている。
……人間が根付けてきた習慣である食事、睡眠成し。
……昨日、今日、明日と日を送り。
……でもその行動の中身にあるのは幾多の空っぽで。
……そこには意義もない。
……曇りない青空を眺めているといつもそう思えてしまう。
少年、白銀 翔馬(しらがね しょうま)は山奥の神社の一角に腰かけ、ただ青空を眺めていた。
「畜生がっ。なんでこんなことしてんだよ俺は!」
今年大学受験期である彼は本来こんな所でのんびりしているべきではないのだ。
通学途中で自転車が壊れてしまい、ここで道草しているのだ。今翔馬がいる神社は山道の途中にあり、普段の通学路では通らない所にある。
今回この道を選んだのは近道するためであったがこんなことになってしまった。
その結果、こんな所で道草をしているのが彼の現状だ。
翔馬の通学時間は自転車を用いても一時間半以上必要なため、遅刻は免れないのだ。
本来ならば電車を利用していくような距離なのだが、彼は色々な事情上一人暮らししていることもあり、節約を名目にわざわざ自転車を通学手段にしているのだ。そんな彼にとって自転車が壊れるということは徒歩以外の足がなくなったと言っても過言ではない。
しばらくお賽銭箱を見つめた翔馬は財布を取り出して小銭を入れようとする。
だが、財布から取り出した途端、その財布を止めていたチェーンが壊れ、不意に財布を手から落してしまった。お賽銭箱の上に。
――それと同時に中に入っていた小銭が一気に賽銭箱に流れ落ちる。
「――ぁああ?! 俺の今週分の食費がぁー!」
それに気づき急いで財布を手にとったが、時すでに遅し。財布の中の小銭は全て賽銭箱の元へ飛び立ってしまっていたのだ。
翔馬の手には小銭が旅立ち空になったその財布と、本来、先ほど賽銭箱に入れるつもりだった、20円程度の小銭が握られている。
翔馬はしばらく周りに目をやると、そろっと賽銭箱に指をツッコんだ。
「オサイセン……ドロボウ?」
するとその神社の住職が密やかに翔馬の後ろに回りでそう囁いてきた。
「――!? あ、いや。別に! ただ深さの安全度を確かめただけだ!」
翔馬は必死で言い逃れてその場を走り去った。
その翔馬の走り去る姿を見届けた住職は賽銭箱の中の金銭が増えているのを確認すると溜息をついた。
「全ク。素直ジャナイネ。ヨクワカラナイヨ。最近ノ若イ子ハ」
雨上がりの夜間。