ポケットの中身

2015/03/18 00:35 :進撃×海賊
我が儘な少将(リヴァロ/進撃×海賊)

※最初から海賊世界にいるリヴァイ、しかも海軍中将
※ローさんも海軍にいます






麦わらの一味が姿を消してから数時間。
ルーキーたちも立ち去り、シャボンディ諸島も落ち着きを取り戻し、後始末に残った俺の部隊もそろそろ引き上げようとしていた。
「リヴァイ中将!ご報告致します!」
「なんだ。」
積み荷の点検をしているところに駆け寄って来た少佐に目を向けると、何やら慌て汗だくになっていた。
「ト、トラファルガー少将がっ!麦わらの船を発見しました!」
「何?」




部下に連れられてローがいる場所に行くと、確かに麦わらの海賊船があった。
その前ででかいトビウオや個性的な連中が、五体バラバラになって山積みにされている。
だが連中は生きていて、やめろ、だのなんだのを口々に言っていた。
その山のてっぺんで座ってたのがトラファルガー・ローだ。
胡坐をかいて大太刀を担ぎ、海賊船を見上げている。
海軍本部の少将で俺の直属の部下だ。
正義の二文字背負わずに白衣を着た風変わりな海兵。
滅多に戦うことはせず、その為に海軍の臆病者などと陰口を叩く者も少なくない。
「ロー!何やってやがる!」
呼べばローは人間の山から飛び降りて、俺の前に立った。
昔はちびだった癖に、今じゃ俺よりだいぶ背が高い。
それに見下ろされながら睨み付ける。
「こいつらが麦わら屋の船を守ってた。」
「…何者だ、こいつら。」
「トビウオライダーズって、この辺りじゃ知られた人攫いグループだ。この前潰したヒューマンショップの常連らしい。」
説明しながらローは転がっていた首の一つを拾い上げる。
無駄にキラキラした表情のそいつは、冷や汗をだらだら流していた。
「おおおお、オレたちはっ!む、麦わらの旦那に、恩があるのさ!だだ、だから!!この船には指一本触れさせねぇ!」
そんなこと言ってるが、こいつは今首だけだ。
俺たちに対抗する手段は無ぇし、人攫いをやってたんなら捕まえるべき犯罪者だな。
「ロー、そのまま連れて帰るぞ。」
「いやぁ〜〜〜っ!!!」
「…“ROOM”」
いきなりローがサークルを展開させた。
連行が面倒だから能力で運ぶのかと思ったが、何故かこいつはバラした連中を元に戻し始めた。
部下たちからどよめきが起こる。
「お前ら、どんな奴からもこの船を守る気はあるか?」
「も、勿論!」
「…例えば海軍の大将だとか、四皇だとかが来ても?」
「うえっ!?あ、ああっ!ああ、命懸けて守るって!!」
「おい、何の質問だ。」
連中と向き合うローに声を掛ければ、ローはにやりと笑って振り向いた。
「麦わらに恩を売っておく。」
「はぁ?…こいつらを逃がす気か。」
「ああ。」
平然と答えるローに対して、後ろの部下からはブーイングの嵐。
人攫いの連中は呆気に取られて全員口をあんぐりさせてやがる。
ローの突飛な考えは今に始まったことじゃねぇ。
それにしたって。
「正気か。こいつらは犯罪者だぞ。」
「おれがいつ正義を背負った。」
背中を指差すローは更に笑みを深める。
「おれはあんたの味方だが海兵になった覚えは無ぇ。嫌だって言ってんのにじじい共が勝手に上げただけだ。」
「トラファルガー少将!口が過ぎます!」
少佐の奴が声を上げれば、ローはそいつを睨み付けた。
少佐は息を飲んで目を逸らす。
何が海軍の臆病者だ。
こいつはスモーカーより手の付けられない狂犬だぞ。
「…まぁそんなわけだ。後は好きにしろ。」
ローは肩を竦めてそう言うが、手を出すなという意味を込めて海兵たちを睨む。
俺はため息をついて真っ白な背中を見送った。




本部に戻る間、軍艦に設けたあいつの部屋に行く。
扉をノックするが返事が無い。
開ければ、本を読みながらベッドに横になっていた。
因みに部屋の中はベッドと机と本棚しかない小さな部屋だ。
「返事くらいしろ。」
「…。」
やっぱり返事は無ぇ。
入り込んで扉に鍵を掛け、本を奪ってローに覆いかぶさると笑いやがった。
「何だ。」
「何盛ってんだよチビ。」
「うるせぇガキ。色々面倒掛けさせたんだから抱かせろ。」
結局トビウオライダーズの件は報告せず、部下たちにも固く口止め(脅した)をさせた。
それはとてつもなく面倒なことだ。
だが、そこまでしてこいつを甘やかす理由も勿論ある。
「約束、だもんな。」
「黙れ海賊。」
唇を塞げば小さな笑い声が漏れる。
本当に可愛くないガキだ。


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