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Snowflake

ぼくたちを遠くへ連れて行って。
悲しい場所でも構わない。
手を取ってくれるなら、一緒にどこか知らない遠くの場所へ。

Show me, love you,
Take you with me.


始まりは、雪の降る冷たい夜だった。
優しい歌を、言葉を、集めて、繋いで
はなればなれにならないように。

失くしてしまう悲しみは、知っているつもりでいた。
これ以上失うものなど何もないくらい、ぼくらは空っぽだったのだから。

諦めても、諦めなくても、ぼくらは死ぬ。
これは、限りのある命だ。



Show me, love you,
Take you with me.

雪の降る冷たい夜、
ぎりぎりまで待ったけど、彼は待ち合わせの場所には来なかった。
騙されたんだよ、ときみが小さな声で零すのを、聞こえないふりして、俯いた。

雪の降る冷たい夜。
その日ぼくは初めて、綺麗な言葉が持っている意外な意味を知った。
悲しくなるのは自然なことだったんだね、と言って、きみが笑ってくれるのを待った。


ショーウィンドウには「いつもありがとう」の文字。
対岸のぼくたちは空っぽの手のひらと、空っぽの心臓。
空からまた、雪のひとひら。

結局ね、言葉にはそれぞれの解釈があるし
本当のわたしを知っているのは、世界でわたし一人だけ。
だから、自分は自分にとって特別なひと。

理不尽な支配や怖れに対して
大きな声をあげて、怒っていくことが
旅の最後に見つけた、ぼくらがぼくらであるための重要な方法だった。
笑顔では、守れないものがあるってこと
わたしがわたしを取り戻すために
あなたがあなたのまま存在するために
必要なこと。


穏やかで優しくて、他に何もする必要のない満ち足りた世界で
きみは名前も知らないわたしのために怒ってくれた
泣いてくれた
世界よりもわたしのことを愛してくれた

傷付ける言葉ばかり書き殴ったノートでも
優しい大人になれるよって言ってくれた


結局ね、言葉にはそれぞれの解釈があるし
あなたとわたしは別々の人間だし

命には限りがあって
割れたグラスは元には戻らなくて

変わらないことの方が多い。

だから。



こぼれた涙の雫が落ちて、砕けた夢の欠片に染み込んだとき、偶然ぼくらは生まれたの。
うれしいときにも涙が出るのは、懐かしい記憶を思い出すからかもしれないね。

名前を呼んで。

どんな綺麗なものだって、捨てることができるよ。

白い靴

洗いたての白い靴。
潮風が揺らす包帯。
ずっと、捨てられなかった歌。

わたしたちはこれから、光が差す方へ。


「失くしたものにも、きっといつかもう一度会えると、ぼくは思うよ。足りないものは、補われるように出来ているんだ。」

夕暮れに染まる海辺。
残された淡い痛み。


さようなら、神様。
あなたがくれた歌は、言葉は、
ばらして、解いて、
海に捨てました。
ぼくは、ぼくの道を行きます。


(足りないものは、補われるように出来ている……。)


微かな光が、辺りを照らしている。
静かに澄み渡る、祈りの言葉。

思いつく限りの、春を呼ぶ魔法と
思いつく限りの、優しい歌を。
きみが、きみの涙ごと、きみを愛せますように。
涙ごと、明日を愛せますように。



夕暮れに染まる海辺。
残された淡い痛み。

謎は解かれて
傷は癒やされていく、はずだと。

洗い立ての靴を履いて。
わたしたちはこれから
最初の扉を開けようとしている。

MARIE


潰れてしまった心臓は、もうただの塊だった。
先程まで、体の芯まで温めてくれた温もりは
今では、言葉を無くすほど無機質な、ただの塊。

いつか終わってしまうこと、怖くないと思ってた。
だけど。


悲しみは鉛のように重く、はっきりと輪郭を持ってやってくるのに、
幸せはまるでそよ風や、ビスケットみたいにささやかでしょう。
そんなんで帳尻合わせようったってさ。


「知ってる?
いま隣で生きているいきものを愛するのと、
心の中でしか生きていないいきものを愛するのって、
全然ちがうやり方をするんだよ。」

冷たい土を被せる手と手が、ほんの一瞬、触れて。

「死んだあとには何もないよってきみには言うけど、心の中のいきものには、なりたかった姿になれますようにって祈るの。
それは矛盾した言葉のように見えるけど、両立する優しさなんだ……」

白い花を添える手と手が、ほんの一瞬、重なって。


幸せはまるでそよ風や、ビスケットみたいにささやかでしょう。
ひとつじゃ足りないのなら、秘密の魔法で増やしてあげる。

たくさん幸せが必要な夜、ポケットをたたいて。
涙の数よりたくさんの甘いビスケット、
あるだけ全部あなたにあげるよ。

Green garden


さみしくない人間はいないから
さみしさ、と書けば、最後まで書かなくても、それは人間のことになるよ。
傑作だ、と
きみがわらって、夜が始まる。

言葉は、いつも足りないように思えた。
行く先の分からない列車に揺られて
永遠に変わらないものを探していた、終わりのない旅。


例えば雲が晴れ、待ち焦がれた穏やかな日差しが戻ってきたとして
あなたの悲しみが癒されないのだとしたら
ぼくはそんな世界は壊してしまうだろう。

世界中の全てが満ち足りたとしても
あなたの悲しみが悲しみのまま変わらないのだとしたら
ぼくはそれを調和とは呼ばない。

どんなに美しく輝いたとしても
ぼくだけは、決して。


さみしくならない人間はいないから
ひとりひとり全然違う心でも、ひとりじゃないなんて夢を見たり、見させたくなったりするんだよ、とか?
照れ隠しに笑ってみせて
似合わない言葉は、初夏の太陽。

生きていればいつか、って
きみがうたって、夏が始まる。
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