毎年、このくらいの時間帯になると不思議な気持ちになります。
静かに浮き足立っているような。
除夜の鐘の音が遠くから聞こえる。
今年も、あと少し。
イヤホンの奥から夏の音がする。夜の寂しさと相まって、憧れに似た愛しさが増幅し、意識はもう遠く。
そう遠い、遠い昔の音がする。
私はここにいる。
たどり着けるはずなどないのに。
何を言われても平気な心を手に入れました。
涙とかいう感情の塊なんて、流れませんよ。
間髪入れずに飛び込んでくる音が、邪魔なものを吹き飛ばしてくれるみたいです。
吐き気がする。
苛々すると吐きそうになる、手が震える、左手が。そう左手だけ。そういえば彼奴が好きなあの娘は左利き。席が隣だと腕がぶつかるとか、あっそう。
背中に感じる二人の気配が、耳につく笑い声が、私をいつも笑わせてくれる。笑え、笑え。楽しくないのに笑えるみたい、人間って凄い、嘘なんて吐くの簡単よって誰が言った。簡単だけど、辛いってそんなの聞いてない。(言ってない。)
声を聞けば、手に触れれば、大丈夫なんて嘘でしょう。どうしようもない。誰にも、何にも、自分ですらどうすることも出来ない。
とても怖い。
だから私は眠っていたい。
(ごめんなさい。これが所謂、空気読めない、っていうやつだ。)
ただ、生きているのならそれで良いと、言って欲しかったのかもしれない。
認めて、許して欲しい。