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何も無い男の子 .




僕には、手も足も耳も目も鼻も口も
何もありません。



だから僕は、
みんなのように歯を磨けないし
みんなのようにボールを蹴れない。
みんなの声を聞けなければ
みんなの顔さえ見えない。
みんなの匂いもわからなければ
わからないことを伝える口もない。




だから僕はみんなが羨ましかった。
妬ましかった。




ねえ神様、何で僕だけ




そう何度も何度も声にならない声をあげて
零れることのない涙を流して
見たこともない空に手を伸ばした。





でもさ、ねえ聞いてよ。





僕、気づいたことがあるんだ。



手のない僕には、
僕を支えてくれる暖かいみんなの手がある
足のない僕には、
車椅子の僕を運ぶ元気なみんなの足がある
耳のない僕には、
代わりに声を聞いてくれるみんなの耳がある
目のない僕には、
僕が見たことない景色を見るみんなの目がある
口のない僕には
僕のことを説明してくれるみんなの口がある






だからねえ、聞いてよ







僕ね、とっても幸せ者なんだ。
何だってみんなを僕が
独り占めできるんだから。





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