Rainbow



2018.8.17 Fri 02:31 :現代パロ作品 旅
blue...(旅・サンゾロ)【五周年記念小説】※フリー小説です




目を開けると、広がる青。
好きな色。

大好きな人の、瞳の色。

そんな、青い世界にいて。

幸せな気分。

その中に、青い色に黄色を混ぜた様な色がポツンと。
その色は自分に酷似していた。

青い世界に、染まりたいのに染まれない。
まるで、アイツの世界に浸かり切るのを躊躇う俺みたいで。

ひどく、虚しく思えた。

染まっちまえばいいのに。
また、逃げる気か?
ずっと、好きでいるって。
もう離れないって決めたのに。

俺は。
…俺は、この世界に。

染まれないのかな…。

思ったその時。
真っ青な世界の中で。

青い鳥が、
舞い降りた。


「ぞーろ?」

青い世界から、声が聞こえた。
瞳を開けると、眼前にまた、青い世界。

海の様な、深い青。

ああ。

「さんじ…?」

寝ぼけてる頭でも分かる。
愛しい人。
手を伸ばせば、その手を取られる。

「うなされてたぞ?また、変な夢見てたか?」

ゆめ。
最初は幸せな気分だった。
でも、突然不安に襲われた。

どんな夢か、忘れた。

「分かんね…幸せだと思ったら怖くなった気がする…」
「今がこんなに幸せなのに?」

現在が、幸せなのに。
そうかもしれない。

「だから、見たのかも」

しれない。

「え?何でだ?」
「今、幸せだから…手放すなって、深層心理の警告かもな」

薄っすら笑みを作り。
目の前の唇にちゅっ、と触れる。

すると、サンジの瞳が和らいで。
お返しに…サンジからも口付けられる。

青が、降りてくる。

…あ。


思い、出した…。


「これ、か…」
「ん?」

幸せに感じた理由。
触れられて、青に染まる。

その中に、俺はいて。

幸せ。

「サンジ、今幸せだな?」
「?ああ。まだまだ、もっと幸せになろうな♪」

もっとかよ。

もっとか…。

「ああ。」

幸せの象徴かもな。
青ってのは。

青い鳥を見たのは。

「もっと、幸せにしてやる」
「こっちのセリフだ、毬藻ちゃん」

毬藻って…。

「もう毬藻じゃねえよーだ」
「長い髪でも、変わらず愛しの毬藻ちゃんだもんな♪」

さいですか…。
まあ、いいや。

「お前になら、なんて呼ばれても嬉しい」
「言ったな?おれのお姫様♪」
「女扱いすんなアホサンジ」

調子に乗る所もあるサンジだけど。
幸せの象徴。

「青い鳥」
「ん?」
「青い鳥の夢を見た」

あの夢は幸せの夢。
そう思えて来たから。

「とても、幸せな夢」

サンジの色の夢だったから!
言うと、絶対に何とも言えない表情になる奴だから言わないけどな。

「そうか、なら良かったぜ」

笑顔が。
とても優しくて。
ホッとすると同時に。

この幸せが続くよう。
心の中で、自分自身に…祈った。

サンジの色に染まらなくてもいい。
サンジと共にいる事が出来れば…近くにいさせてもらえれば…それでいい。



END


追記に後書きあり


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