13/10/17 14:01
 平手ビンタと白昼夢
走り出すコトには代償が必要だって、肝心なコト俺はわかってなかった。だって夢のなかでは、なんの痛みも苦しみもなく、あっという間のスピードで駆け抜けられたんだから。
でも目覚めた現実に待っていたものは、例えようのない苦痛だった。ずっと眠ったままだった俺の身体はなまっていて、両脚の筋肉はもうイヤだと悲鳴を上げる。息だってすぐさま切れて、喉がナイフで切り裂かれたかのようにひりひりと痛む。
ああこんな筈じゃなかったのに、なんて、君に零したら、笑顔のまんま君は右手を上げた。次の瞬間、衝撃。痛烈な平手ビンタ。
ってえな、何すんだよ、俺が頬を抑えながらそう呻くと、君はやっぱり、笑いながらこう言ったんだ、夢から醒めたでしょ?良い加減今此処にある自分を見つめ直してよね。
情けなくも正論。何もかもうまくいかないなんてほざいてた俺は、まだ目を開けたまま眠っていたらしい。白昼夢をみながら。起こしてくれてありがとうな、なんて言葉にする代わりに俺はまた走り出す。どんな苦しみが襲おうとも。


(平手ビンタと白昼夢)

・; :*:・+ C O M M E N T :0




* ← #


[top]
-エムブロ-