龍青群



幸福の翠玉(ジム覇):他
2016.5.27 18:52



「Hallo十代…いや今は覇王か?」

隣で止まった足音に見上げるとジムが立っていた。
目がかち合うと「やっぱりね」という様な顔で笑った

「どうして判る?"眼"以外の姿形は「遊城十代」と同じだ」

「帰って来てからずっとyouを見てたんだから判るさ。それに覇王の時はいつの間にか消えてしまいそうな雰囲気だしているんだぜキミ」

「意味が分からない。そんな事を吐くのは貴様だけだ」

「んーそうかな?あぁ、それともう一つ覇王だって分かったのはキミがこの場所が好きだからさ」

2人の眼下に広がる海。DAから離れたこの断崖が大半の時間を過ごす場所になっていた。

覇王十代は基本人と関わらない。十代は「折角生きてるんだからさ、覇王ももっと楽しめよ」と言ったが"楽しむ"と言う行為を探すのは俺には難解でありそして、十代の友と俺が関わりを持つのは気が引けるのだ。十代がこの事を聞けば無理矢理交代させられ
集まった十代の友たちに1日中振り回されるであろう事は予想できるので黙秘している。

そんな理由があって人格を交代した時間は誰も人の寄らないこの場所に好んで来たのだ。ジムだけは来るなと再三警告しても、無視しても付き纏うので諦めたが。

「別に好きなわけではない」

「Why?てっきり海が好きだからこの場所にいるんだと思ってたんだけど…さっきも嬉しそうな顔で眺めてたろ?」

「え…いや違う。俺はただ…」

自分でも自覚していなかったのだろう。ジムから告げられ、戸惑うような声は詰まり言葉を探している。

思案する覇王の隣にそっとジムも腰を下ろして彼が再び言葉を紡ぐのを待った

「最初は…」

暫く覇王を見つめていると俯き加減に呟き始めた

「何処でもいいから独りになれる場所が欲しく偶然見つけたこの場所にいただけだった」


「だが最近は…エメラルドグリーンの海を見ていると貴様の瞳を思い出す。お前は十代の様に共に居て飽きぬ興味深い男だからな。それに此処にいればまたお前と話ができると何処かて期待していたのかもしれない。…折角皆を避けていたのにお前のせいで台無しだぞ」

「……覇王、やはり変わっていると言うか鈍感だな。キミからそんなコト言われるなんて思いもしなかったよ」

驚いた表情のあとへにゃりと嬉しそうに笑った

「ジム、お前も大概変わり者だと思うぞ。十代では無く俺に構っている時点でな」

「キミだからいいんじゃないか!覇王はcuteだ!」

「ぬかせ誰が可愛いものか。そういう言葉は女に言え」

ぎゅっと嬉しそうに抱きついてきたジムを振りほどかずされるがままため息混じり吐いた。抱きついてる体制の所為でジムから覇王の顔は見るとができなかったが満更でも無さそうな顔だった

「照れ屋だなキミは。でも本当に俺は世界一Happyだ。なにせ覇王が隣に俺と共にこうして一緒にいるんだぜ?またキミと話す事が出来るなんてあの時は想像もして無かったからね。もしかしたら一生分のluckyをキミに使ったのかもしれないな」

「……ッ!」

ジムを突き飛ばし立ち上がりDAの方に歩き出した

覇王が嬉しいコト言ってくれたからつい感極まって伝えたけれど言い過ぎたかもしれない。十代と違って「愛される」と言う感覚に慣れて無いからね。最初の時もそれで良く機嫌を損ねたのだけども。


「さっきはー「ジム俺もー」
砂を払い立ち上がりながら掛けた声は覇王の言葉に遮られた

「…お前が隣に居る時は心地がいい」

「えっ?」

波音でかき消されてしまいそうな程の小声だったがハッキリとジムには届いた。
彼の耳が赤いのは夕日のせいではないと思う。言うだけ言ってあっという間にDAに走って行ってしまった。


「今のは反則だぜ覇王…」

固まったままのジムはため息をついて再びしゃがみこみ顔を埋めた
今から追いかけてもう1度抱きしめたい衝動に駆られたがもう追いついた時には十代と交代しているだろう。無理をいって会っても嫌がられるだけだ。明日まで待つしかない。

今度こそ立ち上がり眼前の海を見つめる。

「エメラルドアイを思い出す、か。」

思い出し思わず口角が上がる
そろそろ戻らないと部屋で待っている相棒が心配するだろう
行き場の失った想いは彼女に聞いてもらおうと軽い足取りでDAに向かった。


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お題「俺は世界一幸せだ。だってお前が隣にいる」を使って書く
友人とやったワンドロの加筆修正版でした
ジム久しぶりに書いたんですがやはりルー語にならない


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